未題

短編より短い短編小説

決断力不足

 この世はまっくろけだよ。どうせまっくろけだよ。きれいにみせることができるだけだよ。感情の美しさに愛の湧くほんの瞬間だけ、あとはどんよりよどんでる。
 ほんとうは苦しい。感情は反発する。過去の怨みが疼くんだよ、この手の人間に散々馬鹿にされてきたんだよ。わたしは一生このきもちを忘れないよ。

 それでもできる限り美しくありたいと願うでしょう。正しくありたいとおもうでしょう。殺意はすべて押し込めるんだよ、べつのところで出すんだよ、現実になんか持ち込まないで。
 自殺者は自らの醜さに堪えられずこの世を去る。

 誤解されるのが嫌だ、けちをつけられるのが嫌だ、一所懸命に生きているのに、一所懸命とおもわれないで、そのひとの主観の世界で生きるなんて、そんなの嫌だ。
 もしその誤解が首を絞めるなら、わたしは喜んで死ぬ。

 ほんとうの愛が実はほんとうなんかじゃなく、歪んでいた、そう気づいたら、最後なにを信じたらいいかなんてわからない。快楽に身を任せるとか、或いは堕ちるだけ堕ちた世界でぼろぼろになって、売り飛ばされる。
 死ぬ勇気がほしい。不完全な世のなかにしがみつかない強さがほしい。

 生きるってすばらしいよとか、愛は世界を救うんだよとか、そんなの生きているひとが言っているだけ、説得力なんかない。なにを知ってるっていうんだ、おまえなんかに、なにがわかるって言うんだよ。
 知らないくせに。

 ほんとうは殺したくって仕方がない。奪われて、奪われて、そのたび否定を重ねられて、この憎しみがわかるかよ。おまえらなんかにわかるかよ。

 こんな哀しい思想をもつ自分が醜い、許せない。自らの死を司る傲慢さが許せない。どんなに努力を積み上げても、どんなに愛を注いでも、結局のところぼこぼことあいた穴、塗っても塗っても広がって、生きている間中つづく地獄。
 この怒りを、哀しみを、わたしはいつでも膨らませて、この世で最大の苦しみを背負った悲劇のヒロインのごとく、はあ、無理、やりたくない。だからしにたいと呟いている。

 きらいだよ、こんなの。わがままかな。

 痛みは真実を映すから、きっとわたしになにかある。拒絶反応を示しながらなんとか飲み込もうとするけれど、弁証法がおもいつかない。悩んだ分みえないなにかはすすむけれど、結果としてはまだみえない。
 現実が変わらない。この時間にいったい英単語いくつ覚えられただろう。