未題

短編より短い短編小説

闘いたい。

 苦しみから解放されたとおもったらまた新たな苦しみが迫ってきて、考えても考えてもキリがなくて、熱が出て、火照る身体を横たえて、それでもねむれないからまた起きる。パソコンを開いて、絵を描いて、ああでもないこうでもないと精神世界に潜りこむ。
 わたしは哀しい。世のなかの物理的制限にいつも苦しんでばかりいる。自由をどんなに望んでも、ひとは良いとこ取りばかりできない。なにかを得たら、なにかを我慢する、なにかを譲る。だから、ここはきっと譲らなくっちゃいけないところなんだとおもう。

 やりたいと言いたい。やりたいとおもっている。やりたくてやりたくて仕方がなくて、身体はうずうずしていて、けれどそうだ、わたしばかりがいつでもすきなんだ、この世界を愛しているんだ、ずるい。ずるいよ。
 この肉体を掻っ捌いて、そのまま羽ばたいてしまえればいい。けれどそんなの最終手段で、つまりは戻ってこられないから、最悪この肉体ぎりぎりのところで精神を被せたまま生きる。

 ほんとうにそうなのか、そんなまどろっこしいこといつまでやってるんだ、なにを守っているんだ、わたしはもっとやりたい、やりたいんだよ。邪魔すんなよ重力、ふざけんな神さま、この世の理なんてぶち壊してわたしはもっともっとうえにいきたいんだよ。
 ずっとずっと眺めてきた、わたしは舞台に立ちたかった。それでも立てなかった、なにかがわたしをめちゃくちゃに引き戻すんだよ、いまじゃないって言うんだよ、まだ地固めだ、だから言い聞かせてきて、ずっとずっと堪えてきたよ。

 指をくわえてみているのはそれはもう屈辱で、悔しくて、悔しくて悔しくて悔しくて、このきもちがわかるか。わかるわけねえよな、だれにもわかるまい。だれにもわかってなんかほしくない。籠城してでも頑なに守ってきたこの魂をわたしはだれより信じている。
 やりたいんだ、やりたいんだ、できるかできないかなんてどうでもいいんだ、ただやりたいんだ、やりたいと手を挙げたかったんだ、それができなかったんだ。でもいまはやれるんだ、やっていいと言われるんだ、ただひたすらやるんだ、やりたいんだ。

 泣けてくる、悔しいよ。もっとうまくなりたいよ。こんなんじゃないんだよ、まだまだこんなもんじゃないんだよ、現実が追いついてないんだよ、あるんだ理想が、ただひとつ、きらきらしたものをもう何年も何年も追いかけてきたんだ。だからやるんだ、形にするんだ、わたしは登る。もっともっと登っていくんだ。