未題

短編より短い短編小説

湧き水

 頭がぼーっとする。目覚めると午後5時、身体がだるい。なにかしなければ、起こそうとしても動かない上半身、もしかすると必要以上にだれかの悲哀を吸い取ってしまったかもしれない。言動から滲み出る人間のあれこれをわたしはたべて生きている。そうして蓄積したたくさんの思想をぐちゃぐちゃに混ぜ、グレーの物語を紡ぐ。きれいでも汚くってもいい。ただ、人間らしいといい。

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打って、響く。

 文学を笠に着て長らく立て篭もりつづけた精神を開け放つには、示唆的表現の内包する痛々しさに一度目を向ける必要がある。愛だ執着だ生だ死だの、そんなことを語るより先にごはんをたべてよくねむる。
 だからといって、振り返り浮かぶその恥についてわたしは気兼ねしない。ある種のトランスが相手にとり非常に奇妙な悲劇或いは喜劇をみせていたとしても、わたしはその馬鹿馬鹿しさまで受けとめる。

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闘いたい。

 苦しみから解放されたとおもったらまた新たな苦しみが迫ってきて、考えても考えてもキリがなくて、熱が出て、火照る身体を横たえて、それでもねむれないからまた起きる。パソコンを開いて、絵を描いて、ああでもないこうでもないと精神世界に潜りこむ。

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分岐あり

 「ほんとうに迷惑してるの。彼ってばちょっとワケありらしいんだけれど、だからって夜中に毎日電話がかかってくるのよ。よう、元気か。いまなにしてるって。妙にテンション高くって。そんなのくりかえされたらたまったもんじゃないわ。」

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愛のポーズ

 「お花、ありがとう。」

 一瞬なんのことかわからなかった、或いは手紙のことを言われているのかともおもった。けれど彼女のそれが皮肉だとわかった途端、ぞくりと走った悪寒はまるで真夜中のメリーさんだった。

 「もしもし、いまあなたのうしろにいるの。」

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