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未題

短編より短い短編小説

突拍子あり

 キャリーバッグを引きずり幼馴染の住むマンションへ押しかけた。ドアを開けた際の驚愕した表情を素通りし、お邪魔しまーすとなかにはいる。どうした、ときかれたけれどなんにもこたえない。そのままずかずか入り込むとどすん、と居座り「なにもきかずきょうは泊めて」と言った。「べつにいいけど」と幼馴染。

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アニマルジャック

 失意のどん底で帰宅すると、6畳ほどのキッチンスペースには不釣り合いのおおきいダイニングテーブルが鎮座していた。弟が熱心に読みものをしている。どうやら医学書を読んでいるようだ。

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かわり屏風

 酔った頭でうんうん唸れど会話のひとつも思い出せない。男の顔さえ思い出せない。もちろん名前なんて論外といえよう。相手の男が何人だったかさえ思い出せないのだ、もう重症だ。

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うーん、えいっ

 ひとはねむりながら記憶を定着させる。外界から得た刺激をからだの内側に染み込ませる。わたしはちっともねむれやしない。右にごろん、左にごろん、それでもやっぱりねむれない。

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ダ・カーポ

 ごろんと仰向けに寝返った水野くんはにやりと笑う。真上からみたその表情はどこか爽やかで、額からはどくどくと血が出ている。

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