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未題

短編より短い短編小説

確かさの不確か

 「こんなときだから冗談みたいに言うけれど、実はあなた、おとうさんのほんとうのこどもじゃないのよ。」

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石の上にも二十日

 おもいのほかあたたかい風を受け、すっかり春めいた外の世界に驚く。ずいぶん長く太陽を避けていたらしい。なにせ駅を歩くにも極力下を向いていたから、外出する時間もどんどん遅くなっていた。ひるまは夜と異なりひとどおりも多い。選択的にひとの波をかわして歩かなければならない。

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フォビア

 昼起きてリビングに下りると、いつもは仕事にいっているはずの母がそこに立っていた。内心ドキリとしたものの、わたしはひとまず尋ねてみる。

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記憶の企み

 のりこちゃんとさきちゃんはいつも幽霊のはなしばかりしていた。ふたりは日ごろのあれこれをなにかと幽霊に結びつけては、呪いとか祟りとか言っていた。

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忘れては

 わたしが高1のころの古文の先生はさながら作家のようだった。いわゆる日本の最高学府を卒業した彼はたいへんな読書家で、いつも小説を小脇に抱えては隙あらば本を読むひとだった。彼が廊下を歩きながら読書する姿を、わたしは何度もみたことがある。そんな彼は、学内でも風変りだと評判の先生だった。

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